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中野窯四方皿

ある露店の骨董市で、ぶらぶらと物を探す。
そのときは、少々味わいのあるものばかりを見て回っていた。
あれ?と思った四方の皿をみつけた。
「それ、古い志野だよ・・幕末の・・美濃系でしょう」
ウソだとすぐわかった。美濃のわけがない。
ただ、見た感じ悪いものというより、そのものが味わいがあるような皿だったし、どこかでこんな感じのやきものをみたことがあるな、と思った。
そうだ、肥前のアマテの・・・なんだっけな。
どこかで実物を触らせてもらったことがあったっけ。
5客で疵がなく、使い勝手も良さそうだ。
思い出した、そうだ肥前の古い手・・伊万里の兄弟に中野窯という茶陶ばかり焼いている窯がある。それに感じが似ているぞ。
そんな風に思って、
「おじさん、これ幾らになるの?」
「5枚全部で一万五千円」
「なんだ、八千円くらいなら買うんだけどな。」
「うーん、いいよじゃあ八千円で。特別だよ。」
普通なら、一枚八千円から一万円のもの。
やった!とドキドキする心を抑えられずにいたが、ちょっとウソをついたオジサンに言ってやろうと思う気持ちもあり、
「おじさん、これさ本当は肥前でしょ?美濃じゃーない」
「えっ。参ったな。なんだ、お姉さん分かるねえ、何処で勉強したの?」
「いや、ちょっと見たことがあってさ」
「なんだ、目が利くねえ」
益々得意になった。内心鼻の高さの伸びが止まらない。
家に持ち帰って、以前見たことのあるものだから、図録だなんだとひっくり返した。
図録にでているものはいわゆる、名品だから私の買ったものはさほどのものでもないし、コレくらいの出来でいいのだろう、などどんどん思い込んでゆく。
でも、矢張りはっきり決めてが欲しいから、前に中野窯を見たお店を思い出し、出かけていった。
自分の買った皿を一枚だけもって見比べてみれば分かる。
店に到着し、店内を見渡す。
あまり人気がないものだから、まだ売れ残っている。
手に取った瞬間、比べるまでもないことに気が付き、店の人が
「どうしたの?」
というので、
「いや、別に・・・、ちょっと見たかったから〜、またくるね」
またやっちゃったか・・という気持ちで一杯だったので、新しいものを見る気になれなかった。

ちらりと一度みた感触だけでものを覚えられたら世話はない。
図録や美術館ならなおさら。
マニアックな品物だから、もしかしたら・・が甘い気持ちを誘う。
自分の思いこみで自ら穴を掘ってしまった買い物だった。



◆間違ったポイント◆

これくらいの出来でいいだろう、がかなり甘い見方。

相手がウソを言ったけど、自分は違う目で見ていると、思い込んでいる。

おだてられたことで、調子にのっている。


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